[エッセイ]
称賛ノート
/肯定の目で/
どんな目で、どんな心で見て接するのかが
その人の運命を左右し、時には永遠までも左右しうるだろう
『おまえ〜、おい、ちょっと~っ!』
几帳面で自分のことは自分でやる自己管理がしっかりできる上の子から、好奇心旺盛で落ち着きがなくしょっちゅう粗相をしでかす下の子は、いつも指摘されてばかりだ。
そして、指摘されるほど、だんだん委縮するようになり、指摘されることに慣れていく小さい子を見るのはいつでも心が痛むものだ。
ある日、祈りながら一筋の考えが思い浮かんだ。
称賛ノートを作って、毎日、長男が弟の良いところを探して褒めた内容を書きとめた数にしたがって、称賛一つごとに計算したいくらかをお小遣いとしてあげることにした。
少ない額ではあるが、思いもよらない収入ができた上の子も、
称賛をたびたび聞くようになった下の子も反応が良い。
そうして数日後、
称賛ノートを見てみたのだが、
「こんなことも上手にできるんだ~!」
「いったいどうやってこんな長所を見つけたんだろう?」
二人の子どもの新しい一面を見るようになった。
前よりも明らかに、指摘したり大声を出したりする回数が確実に減ったようだ。
がんばって称賛できそうな良いところを探すようになり、
弟の良いところを発見しようと努めるようになったことによって、視野も変わり、長所も認めるようになったようだ。
同じ人を見て、同じ行動を見ても、
どんな目で、どんな心で見て接するのかが
その人の運命を左右し、時には永遠までも左右しうるだろう