[エッセイ]
/風/
この世には、世の中の汚れを吹き飛ばす風、
人々の霊魂の痛みまで癒す風が必要だ。
新居に引っ越す。しかし喜びもつかの間。
シックハウス症候群をどうすべきか?
数日間ベイクアウトをした。
室内温度を30度に設定し、家の扉をすべて閉めて
ボイラーを熱々につけて有害物質を排出させるのだ。
そして4日後に行って、扉を開け広げた。
家に入ると瞬間、熱気とかび臭さが鼻から口から入って来た。
開いた扉を通して風が入ってくると、
熱さとかび臭さが列を成し、徐々に抜けていく。
残りの有害物質の排出は合成ジェオライトと活性炭で仕上げる。
そのようにしても有害物質は生活しながら一部は飲み込むことになるだろう。
私たちの春を奪った微細ほこりの前ではベイクアウトも、他のどんな手立てもない。
お手上げだ。
数日前からは微細ほこりが徐々に薄くなって青い空が見える。
風の方向が西風から東風に変わったそうだ。
風がよく吹いて大気の循環がうまくいき、空気がよくなったのだ。
風の役割がどれほど重要なのか改めて悟り、吹いてくる風が命のように感じられる。
風が吹けば悪いものが消える。
有害な化学物質も、微細ほこりも風によってすべて消える。
私は幼いとき、なりたいものがなかった。
ただ風になりたかった。
風が顔に、頭に触れるとわけの分からない懐かしさが生まれ涙が出た。
なぜそうだったのか考えると、思春期だったからというのもあっただろうが、
吹いてくる風が私の霊魂の痛みを慰めてくれたからではないかと思う。
この世には、世の中の汚れを吹き飛ばす風、人々の霊魂の痛みまで癒す風が必要だ。
どんな風だったらいいのか。ハリケーンなら可能だろうか?
私は真理の風、聖霊の風を受けながら、
この風だけが、世の中のすべてのことを洗う風だと思う。
今日も風は吹いている。
風に当たろうとする人、手を出し頭を出してみなさい。
私たちの人生まで癒す聖霊の風が今吹いてきている。