[エッセイ]
無条件的な愛で、
管仲のような私を最後までかばい、信じてくださる方。
春秋時代、斉に「管仲」と「鮑叔」という人が暮らしていました。
貧しい管仲と金持ちの鮑叔。
彼らは暮らし向きや利害に関係なく、無条件友達のために生きる厚い友情を見せます。
彼らの友情を『管鮑之交』と言います。
鮑叔が多く投資して同業を始めたにも関わらず、管仲が分け前を余計に取りました。
管仲が始めた仕事は何度も失敗して苦労しました。
戦争に出て最後まで戦わずに逃げて帰ってきたと非難を受けたりもしました。
そのような管仲を鮑叔は変わらずに理解しました。
「管仲は貧しい両親を扶養しなければならないからそうしたのだ。
失敗も彼の間違いではない。ただ運がなかっただけだ。」
彼らのエピソードを読んでいると腹が立ったりもします。
管仲は処世術にたけてあざとい人に見え、鮑叔は間が抜けて愚かに見えたからです。
鮑叔が仕えていた「小白」が、管仲が仕えていた「糾」に勝ち、王になりました。
その後、春秋時代の覇権をにぎるようになったのが桓公(=小白)です。
鮑叔を宰相にしようとした桓公に、彼はひれ伏せて丁重に話しました。
「王様、一国の主人として満足なさるなら、臣下の扶翼(ふよく:助け)でも足ります。
しかし天下の主人になろうとされるならば管仲を立ててください。」
桓公は鮑叔の話を聞いて、過去に自分を殺そうとした管仲を宰相に立てました。
鮑叔の言葉通りに管仲は優れた能力を発揮して、桓公を偉大な王になさしめました。
管仲は言います。
「私を産んだのは父母であり、
自分を理解してくれるのは鮑叔だ。」
彼の言葉を読みながら、さまざまなことを考えました。
そして思いました。
誰が正しか否かは置いておいて、彼らは本当に幸せな人だ!
友達の愛を無条件受ける管仲も、結局はその人に報いたし、そのような愛で友達に接した鮑叔も自分の信頼が間違っていなかったことを見ました。
「私を分かってくれる人は誰だろうか?」
正直、鮑叔をみて、すでに思い浮かんだ方がいます。
無条件的な愛で、管仲のような私を最後までかばい、信じてくださる方。
神様!
私も、最後にはその愛と信頼が間違っていなかったことを見せて差し上げたいです。