ひそひそと主がお話をしてくれます!耳をそばだててよーく聞いてくださいね。そしたら、霊がスクスク!心もスクスク!育ちますよ。
文 : チュ・ウンギョン
絵 : ダ・ヘ
しばらくして、すてきな指揮者の服を着たワシのジョシュアが飛んできて、舞台の指揮者台に立ちました。
ジョシュアはにっこりと笑って楽器たちを見ながら言いました。
「貴い楽器さんたちと共にこのように音楽会を開けるようになって本当にうれしいです。
神様が各自に下さった最高の音で美しいハーモニーを作ってみましょう。」
ジョシュアはすっと指揮棒を持ち上げて、リズムに乗って指揮を始めました。
楽器たちも楽譜を見ながら演奏をしました。
演奏が始まって間もなく、トライアングルがしかめ面をしたかと思うと鉄の棒を力いっぱい叩きました。
「チンチン、チンチンチン~~~」
すると横にいたタンバリンもつられて体を揺すり、大声を出しました。
「シャカシャカシャ~ン、シャカシャカシャ~ン~シャ~ン~~」
シンバルはびっくりして「ジャーン!!!」とやかましい音を出しました。
ジョシュアは指揮をやめ、楽器たちも演奏をやめました。
バイオリンがイライラしながら言いました。
「ふう、やかましい!市場に物を売りに来たわけでもないのに……」
トライアングルが怒って言いました。
「まあ!やかましいですって。他の楽器の音のせいで私の音が聞こえないから、少し大きく音を出しただけです。」
後ろの席にいたタンバリンも相づちを打ちながら言いました。
「楽しいフェスティバルの雰囲気を出すためには、私が軽やかに体を揺すって踊るべきなのに、
舞台の前の席に変えたらだめでしょうか?」
するとジョシュアが楽器たちに言いました。
「やってみると少しの失敗はあるものだから、お互い腹が立つ心を和らげてもう一度やってみましょう。
楽器の調律もやり直して、心を落ち着かせてみてください。」
再びジョシュアが指揮を始めると、楽器たちも演奏を始めました。
すると今度は自分の音が飛び出してるのではないかと気になりすぎて、音がきちんと出ませんでした。
ピアノがじれったいという表情で言いました。
「大太鼓とホルンの音が聞こえないから、私がどこで入ればいいかわかりません。大太鼓とホルンはどこに行ったのかしら?」
ホルンの顔が赤くなりました。
「むやみに大きな音を出したら何か言われるかと思って、音を出せなかったんです。」
大太鼓もイライラして不平を言いました。
「私の太鼓の音が気に入らないなら、ピアノが太鼓の音を出せばいいでしょう!」
その時シンバルが「シャンシャンシャン!」と音を出しました。
「もう!こんなふうにしていては、今日の音楽会ができません。」
小太鼓が「トントン、トドド~ン~!」と音を出して言いました。
「じゃあ、何度もミスする楽器は除いて、やりましょう。」
楽器たちがみんな一言ずつぶつぶつ言っていると、それを静かに聞いていたジョシュアは大きな翼をぱあっと広げて言いました。
「ちょっと待ってください!みなさんは世界で二つとない、とても特別な音を持っています。
多様な楽器が集まって、いい音色を作り出せば美しい音楽になります。
それなのに自分の音ばかり大きく出すなら、どうなるでしょうか?」
トライアングルは申し訳なさそうに小さな声で言いました。
「美しい音楽にはなりません。」
ジョシュアはほほえみながら言いました。
「そうでしょう。自分の姿を一度見てください。顔だけ貴重で足は貴重でないでしょうか?
手は手の仕事、足は足の仕事、頭は頭の仕事をしています。
それなのに、お尻がお尻の場所にいるのが嫌だからと言って頭に行ったら、どうなるでしょうか?」
小太鼓が笑い出して、言いました。
「プハハハ!頭がお尻に行って、お尻が頭に行ったら本当に笑っちゃうよね。
そんなふうになったら、頭もお尻も自分の役割がちゃんと果たせないでしょう。」
ジョシアは目を輝かせながら話を続けました。
「まさにその通りです。だから神様はそれぞれの才能に応じて仕事を任せてくださいました。
みなさんの形やサイズによって異なる音を出せるように作ってくださったから、自分の役割をきちんと果たせばうまくいきますよね?
いくら小さい楽器だとしてもそれがなければ、美しいハーモニーを作り出すことができません。
みんな個性の王だし、本当に貴重です。」
楽器たちはジョシュアの話を聞いてみんなうなずき、お互い見つめ合いました。
ピアノが清らかで、きれいな声で言いました。
「指揮者さんの話を聞いたら、自分が言ったことが恥ずかしいです。」
バイオリンも謝りました。
「きつく言って本当にごめんなさい。」
タンバリン、シンバルも笑顔で言いました。
「さあみんな、心も合わせてメロディーも合わせて、美しいハーモニーを作ってみましょう。」
ジョシュアは指揮棒をさっと持ち上げて言いました。
「よろしい。美しいハーモニーを作るためには指揮にしっかりついてこなければいけません。
この指揮は、楽器さんたちが一番美しく神秘的で勇壮な音を出せるように導いてくれるものです。」
「そうか…。楽譜ばかり見ていたから、全体の音が聞こえなかったよ。」
楽器たちはようやくどうやって演奏すべきか分かりました。
ジョシュアは指揮棒を持ち、すべての楽器たちと目を合わせながら応援しました。
そしてゆっくり、速く、やわらかく、力強く、リズムに乗りながら指揮をして、楽器たちがベストを尽くして演奏できるように導きました。
するとすべての楽器が、他の楽器の音を輝かせるように調和を成した音を作り、ついに美しく神秘的で勇壮な音が奏でられました。
秋の風はもみじの木を揺らして、落ち葉の雨を舞台の上にぱらぱらと降り注いでくれました。
動物の仲間たちは、美しいハーモニーが響き渡っている天国に来たように幸せになりました。
いつのまにかジョシュアの指揮が終わり、音楽も余韻を残して終わりました。
「うわ~~!パチパチパチパチパチ~~~」
「本当に感動的です!」
とてもすてきな光景と共に、一つになった音楽に夢中になっていた動物の仲間たちは一斉に立ち上がり、感嘆して大きな拍手をしました。
「アンコール!アンコール!アンコール!」
動物の仲間たちは、もう一度演奏してほしいとリクエストしました。
楽器たちは互いを見ながら「本当にじょうずだったよ!」とほめ合いました。
ジョシュアは楽器たちに親指を立てて言いました。
「自然の園の<もみじ音楽会>は今から始まります。
楽器さんたち、準備はできましたか?」
楽器たちはみんなうなずきながら、幸せそうにほほえみました。
美しいハーモニーが秋の空高く響き渡る時、もみじより赤い夕焼けが自然の園いっぱいに照らされました。
-おわり-