ひそひそと主がお話をしてくれます!耳をそばだててよーく聞いてくださいね。そしたら、霊がスクスク!心もスクスク!育ちますよ。
◉ 文:チュ・ウンギョン ◉ 絵:ダヘ
自然の園の森の中の道をのんびり歩いていた赤ギツネのパンスは、石の上にきらめくものを見つけました。
“あれなんだ?”
好奇心が湧いたパンスは近くに行ってみました。
石の上に金色を帯びた何かからいいにおいがしていたので、注意深く味見をしました。
“うわぁ、あま~いはちみつじゃないか!”
パンスは周りをきょろきょろ見回して、見てみると木に小さいハチの巣がぶら下がっているのを発見しました。
“ああ!あのハチの巣からはちみつが垂れたんだな。”
パンスは木の枝を一本拾い上げ、ハチの巣をつっついてみました。
“よせ!パンス”
ジョシュアがどこからか飛んできて、パンスが持っていた木の枝を叩いて遠くに投げ飛ばしました。
“ハチの巣をいじるのはとても危険なことなんだよ。”
パンスはきまり悪そうに笑いながら言いました。
“はちみつがちょっと垂れていたから味見をしたんだけど、なんかうれしくなって。
もっと食べたくてつい……”
“ハチの巣をいじったらびっくりしたハチは侵入者だと思って、必死になってお前を攻撃するそうだ。”
“ジョシュア、ぼくの話ちょっと聞いてくれる?自然の園にある花のみつはハチがすっかり持って行ってしまうけど、そのみつちょっと分けて食べるっていいと思わない?
小さいハチたちがどれほど欲張りだからってはちみつが腐るほどたくさんあるのに分けてくれないなんて。”
パンスはぶつぶつ文句を言いました。
ジョシュアはパンスを見ながらじっくり考えてから言いました。
“はちみつよりいいものがあるんだが、それをもらいたければ私の言うことを聞いてくれるか?”
“はちみつよりいいものがあるって?それはなに?”
“お前が欲しいと願うものは全部もらえるものなんだけど、それは『祝福』だ。”
“ぼくが欲しいと願うものは全部もらえるって?ほんと?
どうすればその祝福ってやつもらえるの?はやく教えて。”
ジョシュアはパンスに祝福をもらう5つの方法について教えてあげました。
“なんだ、たいしたことないや。ぼくがその、欲しいと願うことをもらおうとしたら、今すぐにでももらえそうだ。”
パンスは自信満々に言いました。
“そうだ、パンス。お前ならできる。幸運を祈る。”
そうして二人は別れました。
パンスはジョシュアから教えてもらったことを忘れないようにずっとつぶやきながら歩いていきました。
“どん!いたた!”
丘を転がり落ちたパンスは足首をけがしたのかとても痛かったです。
赤ちゃんウサギたちがジャンプ遊びをしようと張っておいた縄に引っ掛かって転んだのでした。
丘の上にはきゃっきゃっと笑っている赤ちゃんウサギたちが見えました。
“やーい、目の前の縄も見えなくて引っかかって転んだなんて、きゃっきゃっ。”
かんかんに怒ったパンスは、くそっ!と本性を出しました。
“あのチビウサギのやつら、ただじゃおかないぞ。必ずつかまえてこらしめてやる。”
赤ちゃんウサギたちはとっくに逃げてしまい、いなくなっていました。
“くそっ!運が悪けりゃ後ろに倒れて鼻がつぶれたと言っただろうに…….”
ツンと立った鼻をなで回しながら毛についたほこりを払いのけ、ぶつぶつ言いました。
“はあ~よりによってなんでぼくにこんなことが起こるんだ。”
文句を言いながらケガした足首をさすっていた時、さっきジョシュアが言っていた話がはっきりと思い浮かびました。
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‘パンス、きみが祝福をもらうためには、どんなことがあってもこの五つは必ず守らなければいけないよ。
祝福をもらうための一つ目の方法だ。
<仲良くする>という言葉を絶対に忘れてはいけない。
<仲良くする>という言葉をいつも考えていて怒ることがあったら 「仲良く!仲良くしなきゃ。」と言って実践すれば、くそっ!という性格も出ないし、打ち勝つことができるさ。’
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パンスはちょっと前イライラして腹を立てたことを思い出して後悔しました。
“ああ・・・<仲良く>という言葉を忘れちゃったな。”
次の日パンスはケガした足をひきずりながら泉の水を汲みに行きました。
ちょうどアナウサギのポジニ夫人も泉に来ていました。
パンスはきのう赤ちゃんウサギのせいで丘から転げ落ちてケガをしたことを問い詰めようと思いました。
パンスがしかめっ面をしながら話そうとした時、ポジニ夫人がパンスを見て笑顔で話しかけました。
“まあ、パンス。きのうケガをしたと聞きました。足の具合はどうですか?”
“あ・・それは?”
“私、子供たちから話を聞いて本当に申し訳なくて、サンドイッチとぶどうジュースを作って出かけたところでした。水も何本か汲んだからこれも一緒に飲んでください。”
“えへへ、大したことではなかったですよ。赤ちゃんウサギたち、すっかり大きくなってよく走り回ってたんですよ。
ジャンプがほんとうにじょうずで、とってもかわいかったですよ。ハハハ。感謝していただきますね。”
パンスは食べ物の入ったバスケットを受け取り、家に帰りながら考えました。
“やれやれ、チビウサギの悪い癖を直してくれとはっきり話すべきだったのに…….”
パンスは不平を並びたてながら、ポジニ夫人が包んでくれた食べ物を見つめました。
サンドイッチがジョシュアの顔に見え、きのうジョシュアが話していたことを声に出して言いました。
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‘パンス、祝福をもらうための二つ目の方法だ。
仲良くしようとする心と意志を絶対に持っていなければいけない。
‘仲良くしなければ争って損をするから気を引き締めろ!’ と自分にずっと言い聞かせ、仲良くしようと決心したとおりに実践するんだ。’
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パンスはジョシュアに言うようにつぶやきました。
“だからぼくはチビウサギたちが怒られないように言いつけなかったじゃないか。
ポジニ夫人が気難しいわけでもないのに、言い争ったところでぼくばかりが損だ。
ぼくが寛大な心ですべてを理解してあげたからこんなにおいしい食べ物も持たせてくれたんじゃないか。
あ~おなかすいた。はやく食べよう。”
朝ご飯を食べたパンスは森の広場に行きました。
自然の園の動物たちが集まって話をしていました。
ところがパンスがもう着くという時、動物たちはどこかに散らばって行ってしまいました。
“あいつら何でこんなことを?ぼくがウンコでもつけて来たってわけ?
どうしてぼくだけ仲間外れにするんだ?”
岩の間からこの様子を見ていたハイエナがそっとパンスのところに来て声をかけました。
“ぼくはぜんぶ知っているんだけど、話してあげようか?
シカのジェニーが誕生日プレゼントでもらったネックレスがなくなったんだって~。
そのネックレスを見つけようと森の中を探し回って、見つけたんだけど…….”
“見つけたけど、それで?”
“その・・ネックレスにパンス、きみの毛がからまっていたというんだ…….”
“何だって?それがどうしたって?
ネックレスにぼくの毛がからまっていたって誰が言った?誰だ?
ぼくはそのネックレス見たことはあるけど触ったことはないって。”
パンスは疑われたことがあまりにも悔しく無念でがまんができませんでした。
“そんなネックレス100個をもってこられても欲しくない。そんなことするもんか!”
ハイエナは怒ったパンスをあおりながらまた言いました。
“そうだよね、きみを真の友だちと思うならむやみに話して疑ったりはしないだろうし。
あんな思いやりのないやつらには本当に腹が立つよ。
やつらはきみを友だちと思ってないようだけど、ぼくらはチームのように仲良く過ごそう。
ぼくたちがきみのこと大切にするからさ。”
“ぼくも自分を自慢したり偉ぶるあいつらの顔も見たくない。フン!”
怒りが爆発して頭がずきずきと痛んでいる時、ふとジョシアの言葉が思い出されました。
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‘パンス、祝福をもらうための三つ目の方法だ。
平和でないとき悪い考えを与えるサタンがすきをついて入ってきて心を苦しめつらくさせる。サタンは仲良くできないよう邪魔をする。このことを心に留めておきなさい!’
パンスはハイエナをにらみつけながら言いました。
“でもきみは何でぼくの友だちの悪口を言うの?
きみの話が事実なのか今、行って調べてくるから一緒に行こう。”
するとハイエナは急ぎの用事があると言って、慌てて茂みの中へ消えてしまいました。
“そんなもんさ。ハイエナのやつめ。ぼくたちが仲良くすごす姿を見て意地悪したくなったようだ。こんど会ったらこらしめてやる。
ともあれどうして友だちという友だちはぼくの前から消えてしまったんだろう?” ....(2)編に続く