ひよこ科学者の科学コラム。科学を時代の御言葉で再びスポットライトを当ててみる新概念の科学コラム。
過去から来た光
科学者たちは、どのようにして自然法則が過去においても同一だったという事実を知ったのだろうか?人知れずタイムマシーンに乗っていって過去を見たのだろうか?そういうことではない。時間旅行は不可能だ。しかし、我々は宇宙を観測することで過去の情報を非常に豊富に得ることができる。我々の見ている太陽が、代表的な例だ。
太陽の光が地球に到達するのにかかる時間は約8分であり、我々が見ている太陽は、実際は現在の太陽ではなく、8分前の太陽なのだ。我々は、知らない間に宇宙の過去の情報を観測していたのだ。人類が遂行してきたすべての天文観測は、過去の資料を収集するものである。250万光年離れたアンドロメダ銀河を観測したなら、250万年前のアンドロメダ銀河を見ているということなのだ。
現在まで人類は、137億光年離れた場所からやって来た光まで観測してきた。「宇宙背景放射」と呼ばれるこの光は、ビックバンが残した太古の光であり、ビックバン理論の強力な証拠とされている。既存の理論の中だけに留まっていたビックバンは、背景放射観測を契機に広く認められるようになり、これを観測した科学者たちは1978年にノーベル物理学賞を受賞した。宇宙の年齢が137億年であるということも、宇宙背景放射観測を基に計算されたものだ。
このように、人類は天文観測を通して137億年前の情報までも入手した。近い過去の情報はより膨大に収集された。関連研究者たちは、このような資料を基に、星や銀河、宇宙の形成と進化を研究し、現在も、10万年前も、10億年前も、星と銀河は同一の原理で生成され消滅するという結論を下した。宇宙の原理は、今も昔も同一なのである。
驚異的な自然円転
地質学の根拠も豊富だ。アフリカのガボンにあるウラン鉱山で発見されたオクロ地区の天然原子炉は、自然法則が数十億年前も今と同じだったという根拠を提供する。発見された天然原子炉は、17億年前に臨界状態に到達し、数十万年間、核反応を持続した。ここでは、地下水を減速材としたウラン235の核分裂反応があったのだが、これは現在最も広く使用されている原子炉である加圧水型原子炉で起こる核反応の形態と正確に同じであった。
過去の自然法則が今と少しでも違ったなら、核反応の結果で生成された元素の比率が今と大きく異なったはずだ。また、もうひとつの自然の驚異は、数十万年間、円転を稼働させながらただの一度も事故を起こさず、放射性廃棄物についても深い岩盤の中に埋められ完全に処理されていたということだ。余談だが、このような理由から、核工学者たちは自然原子炉について多大な好奇心を持っている。自然は、人類に対して非常に多くの教えと教訓を与えてくれていると思う。
エネルギー保存と対称性
最後に、理論物理学からは、自然法則の対称性を根拠に挙げる。自然の対称性を論じるのは、物理学の最も深奥な領域であり、神聖でさえある部分だ。紙面の限界がある以上、詳しい説明は難しいが、現代物理学ではエネルギー保存の法則を自然法則の時間対称性と関連付ける。
「 自然法則は時間を基準に対称だ」というのは、「 自然法則は時間の経過を問わず不変だ」ということと同一であり、自然法則が時間によって不変であるためエネルギーが保存されるということだ。
逆に、自然法則が時間によって変わるなら、エネルギーは保存されない。仮に、重力の強さが午前と午後で異なるとしよう。すると、重力が弱い時にポンプを回してダムに水を溜め、重力が強い時に発電機を回してエネルギーの差益を得ることができるのではないだろうか?だが、重力の強さは時間が経っても同一であるため、エネルギーが保存されるのだ。今まで科学者たちがエネルギー保存の法則を違反した事例を発見したことは無いのだが、これもまた、自然法則が今も昔も同一だという証拠となる。
-画像:Bayron Octet(Wikimedia Commons)
宇宙を構成する基本粒子の一種であるクォークの対称性を表している。